コンパクトレンズ

コンパクトで高性能で多機能を求めて

ホームネットワークという幻想

次期HDMI規格のバージョン1.4が明らかに--注目は「イーサネットチャンネル」 - CNET Japan
http://japan.cnet.com/news/com/story/0,2000056021,20393986,00.htm?ref=rss

非常に近い将来、テレビで快適にネットサーフィング、電子メールのチェック、インスタントメッセージングができるようになると考えてよいだろう。

ウェブブラウザを搭載したテレビはかなり前から市場に出ていました。アクトビラ以前にも、PanasonicのTナビなど、テレビ用のウェブコンテンツも用意されていました。電子メールのチェックも、ウェブメールを使えば可能な状態ではありました。でも、これらは今のところ広く利用されているとは言い難いと思います。


アクトビラ、累計接続数が100万台突破 - ITmedia NEWS
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0905/26/news057.html

アクトビラは、デジタルテレビ向けネットサービス「アクトビラ」の累計接続台数(アクトビラに1度でも接続したテレビの台数)が5月26日に100万台を突破したと発表した。

HD動画配信サービス「アクトビラビデオ・フル」が最も人気で、アクトビラ対応テレビの全出荷数のうち2割が、アクトビラビデオ・フルに接続しているという。

最近のテレビやレコーダは標準でアクトビラへの接続が可能なので、試して見る人が相応にいることは分かります。アクトビラビデオ・フルについては対応テレビがまだ少ないため、一部の新しもの好きがちょっと試してみた程度だと想像します。それくらい、アクトビラベーシックのコンテンツ、使い勝手は悪いです。Wiiの足下にも及びません。VoDサービスについては、まだまだ価格が高くてDVDを普通にレンタルした方が割安ですが、コンテンツラインナップが拡充され、価格もDVDレンタル並になれば普及するかもしれませんが、コンテンツ配信サービスはそこにたどり着く前に消えていくのが悲しい現実です。


一方で、こんな試みもあるようです。
ニュース - NTT,近未来の通信サービスを体感できるショールーム「NOTE」をリニューアル:ITpro
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090529/330931/

ホームICTは,開発中のホーム・ゲートウエイ装置を使って,デジタルカメラで撮影した写真をテレビ画面上に映したり,NGN経由で送られる地震速報サービスに反応して,ガスの元栓を閉めたりするデモンストレーションを展示している。

遠隔地点のデジカメ画像をテレビに出力するデモですが、これが最新のホームネットワーク技術かと思うと暗澹としてしまいます。ユーザインタフェースを凝ればそれなりの使い勝手があるかもしれませんが、オンライン写真共有サービスが普及している現在において、このようなサービスが必要でしょうか。また、ガスの元栓を閉めるのも、イーサ経由でやる必要はありませんが、利便性の面では価値はあると思います。


ホームネットワークについては、DLNAをはじめとするコンテンツ共有、家電製品の遠隔制御、センサー等を利用したネットワーク機器の連携などが2,30年前から模索されていましたが、ようやくDLNAが製品ベースで出てきたくらいです。しかし、遠隔制御などについてはEchonetやJini、Havi等の非IPプロトコルに始まり、最近ではUPnPをベースとした宅内機器の検出や相互接続の規格ができつつあります。でもコンセプトだけが先行していて、では実際にそういうことができたとして、どういう新しい利便性が得られるのか、が全く議論されていないのです。


現在の日本には少子高齢化に伴う教育、介護福祉などさまざまな課題があります。直接とはいかなくても、少しでも社会に貢献できるような仕組みでなければ、ホームネットワークはいつまで経ってもただのオモチャレベルに過ぎないと思います。遠隔授業や遠隔医療などの取り組みも、まだまだ普及レベルの代物ではありません。本当に人々に必要とされる機器連携とはどういうものなのか、技術オリエントではなく、シーズベースで考える必要があると思います。