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ウェブはバカと暇人のもの

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)

私はごく一般的な会社員なのですが、普通の生活だと朝から晩まで仕事、常時ネットにはつながっているけれど2ちゃんねるmixiTwitterは当然のごとく社内LANからは閲覧ブロック対象なので、ちょっと仕事が忙しくなるとここの更新すらぱたりと止まってしまいます。業務に追われてニュースもろくにチェックできず、ましてはてダに書けるような私的な時間はまったくないのです。基本帰ったらメシ食って寝るだけ。


だから、この本の著者の言いたいことはよく分かる。さすがに「バカ」「暇人」はちょっと煽りが入ってますが、このちょっと煽るくらいの方が話題になりやすい、というのもまた事実。最後の章まではそんな電凸クレーマーとかねらーとかブロガーとか(はてなーはなかった)その筋のネット事情について、ネット住民の実態と生態がわかりやすく書かれています。まあ情報通信の業界で仕事をしていれば多分全部のネタについていけますが、要約するとソースはやっぱりテレビ最強、ということです。祭りのネタも個人ブログのネタも有名人もほとんどがテレビ発。


で、こう続けます。

ネットがない時代にもともと優秀だった人は、今でもリアルとネットの世界に浮遊する多種多様な情報をうまく編集し、生活をより便利にしている。ネットがない時代に暇で立ち読みやテレビゲームばかりやっていた人は、ネットという新たな、そして最強の暇つぶしツールを手に入れただけである。

広告代理店を経て実際にネットニュースの編集に携わっている著者の経験に裏付けされた言葉にはそれなりの説得力があります。確かにまとまった暇、つまり実生活以外の私的な時間が大いにあって、ネットに張り付いていないと、突発的な祭りの詳細なまとめサイトを作ったり、掲示板に夜通し粘着書き込みしたり、才能の無駄遣い的な創作に没頭したりというのは無理だと思います。それを暇つぶしと言われると憤慨する人もいるかもしれませんが、著者は意外と辛辣です。


ウェブを使う人が暇つぶし程度の使い方しかできないんじゃ、ネットに過剰に期待したり不安がったりしても、そんなのは幻想でしかないということを再確認できる一冊。


...でも、そういうネットで注目を集める祭りや炎上などのイベントや、AAやコピペ、二次創作なんかは個人的には好きな方です。私はどちらかというと生産的活動のツールとしてネットを存分に使いこなす優秀な人ではなくて、下卑で猥雑でしょうもないものにしっかり反応してしまう「バカで暇人」の側の人らしい。だってこんな本買ってまで読むくらいですから。